認定基本条件

ヨーロッパサイコセラピー認定証
The European Certificate for Psychotherapy(ECP)

と共通の
日本サイコセラピー認定証
The Japanese Certificate for Psychotherapy(JCP)


ECPに適合するJCPの基本条件を記す。


1. サイコセラピーにおける各モダリティー(技法・流派)の科学的根拠
2. サイコセラピー訓練
3. JCP認定者の公的登録


1. サイコセラピーにおける各モダリティーの科学的根拠

 次の基準を満たすモダリティーで訓練を受けたサイコセラピストにのみ、JCPを与える。

1. 調査、適用、研究、実践についての明確な領域を持つこと。
2. 診断/評価、およびトリートメント/インターベンションについてその分野の流儀に従って知識および能力についての主張を示せること。
3. 人間、治療関係、健康および病気について明確かつ首尾一貫した理論を持つこと。
4. サイコセラピーの理論を発達させ、人間性を理解する上で新しい知見を示し、トリートメント/インターベンションの方法を導く特有な方法を持つこと。
5. 言葉を介さない情報およびコミュニケーションを認識するとともに、言葉のやり取りの過程を含むこと。
6. 病気もしくは苦痛を起こさせたり、持続させる要因を構造的に変化させるためのトリートメント/インターベンションについて、明確な理論的解釈を与えること。
7. 患者が新しい経験・行動組織を発達させられるような明確な戦術を持つこと。
8. サイコセラピーの理論と実践について、他のモダリティー(技法・流派)との対話が可能なこと。
9. 他の研究者によって用いられることのできるトリートメント/インターベンション法や選択された研究分野を系統的に記述する方法をもつこと。
10. 理性的な内省や、他の専門家によって与えられた批判的思考の結果もたらされた情報を組み入れること。
11. サイコセラピー分野で他と異なる明確な新しい知識を提供すること。
12. 科学的サイコセラピーに属すると思われる他のアプローチと融合でき、共通の基盤領域を共有すると認められること。
13. 人間の問題を理解するための論理的な戦略と、トリートメント/インターベンションの方法と結果の間の明白な関係を記述・表示すること。
14. 診断/評価とトリートメント/インターベンションの効果的方法に明確に関係する人間の正常行動と問題行動についての理論を持つこと。
15. 研究の可能性を明確に十分示唆する調査法を持つこと。
 
以下のモダリティーが上記の基準を満たす。
(ア) 力動的/分析的サイコセラピー(S.Freud、C.G.Jung、A.Adlerなど)
(イ) 認知行動療法
(ウ) ファミリー、セクシャル、カップルサイコセラピー
(エ) グループサイコセラピー
(オ) 来談者中心サイコセラピー(C.Rogers)
(カ) ゲシュタルトサイコセラピー
(キ) 交流分析サイコセラピー
(ク) サイコドラマサイコセラピー
(ケ) 実存/サイコセラピー
(コ) 森田サイコセラピー
(サ) 内観サイコセラピー
(シ) 催眠サイコセラピー
(ス) 統合サイコセラピー
(セ) 小児・思春期サイコセラピー
(ソ) インターパーソナルサイコセラピー
上記のリストにないモダリティーについては、もし基準を満たしていれば科学的妥当性確認委員会(Scientific Validation Committee)は評価を行わなければならない。


2. サイコセラピー訓練

サイコセラピー訓練の期間および内容:
 全訓練期間は最低限7年間で、3200時間以上でなければならない。なお最初の3年間は大学の学位に相当する。後半の4年間はサイコセラピーに特定された訓練でなければならない。
 
 適応される学部・学科: 医学部、心理学部(科)、教育学部、保健学科など。
周辺学部や学科を卒業していて、適応されるか否かが不確実な場合は、学会事務局に問い合わせること。

 修了したことの証明は卒業証書のコピーを添付すること。

 訓練は以下の要素を含んでいなければならない。
 個人的サイコセラピー体験もしくはそれに相当するもの。これには教育分析、自己体験、内省・治療・個人的体験、の要素を含むその他の方法を含める必要がある。独自の方法に従って行なわれるサイコセラピーの過程に付随するものおよび寄与するものをトレーナーが確実に見極め、適宜処理できるように、いかなる訓練も手はずを整える。個人的体験は250セッション以上でなければならない(1セッションは約50分)。少なくともその一部はグループセッションで体験されるべきである。

 体験を証明するものを添付すること。


理論研究

 大学もしくは専門教育による一般的部分と、サイコセラピーに特定される部分から構成される。大学もしくは最初の大学の学位に至る専門課程、もしくはそれに相当するサイコセラピーに関する専門的資格はサイコセラピー理論の一般的部分の一部もしくは全部として認められる。しかし、特定されたサイコセラピー訓練の4年間に充当することはできない。サイコセラピー訓練の4年間の理論研究には次の要素を含めなければならない。
 ・ライフサイクル全体にわたる人間の発達理論
 ・他のサイコセラピーアプローチの理解
 ・変化理論
 ・サイコセラピーに関する社会的・文化的問題の理解
 ・精神病理諸理論
 ・評価およびインターベンションについての諸理論
 ・理論の訓練時間は100時間以上でなければならない

理論研究には、当学会が認定している講座のどれか一つのコースが含まれなければならない。

A: 当学会の認定講座
@平成23年度春より、サイコセラピー学会の運営する講座がスタートの予定。
A青山心理臨床教育センターの各種講座(当センターのホームページ参照)
B: 理論の訓練時間には、心理臨床学会が、臨床心理士資格更新のポイントとして認定している学会、講座、講習会などが適応される。(臨床心理士認定協会の資料参照)
 
 A,Bの研修修了書(トータルで100時間を越えるもの)のコピーを添付すること。

実践訓練

 実践訓練には、メンタルヘルスセッティングにおける配属、もしくは同等の専門体験とともにスーパービジョンによる実践訓練が要求される。

◎メンタルヘルスにおける専門的体験。以下のいずれかのコースを選ぶことができる。
 Aコース 「サイコセラピーモダリティーに適合する継続的なスーパービジョン下での十分な実践訓練が含まれれば(当学会認定のスーパーバイザーおよび他の学会の認定スーパーバイザーが所属している施設であることを意味する)、最低2年間の勤務・研修していることを必要とする。」
 Bコース 「いかなる学会の認定スーパーバイザーもいない施設での実践については、メンタルヘルスセッティングでの配属および専門体験を4年間必要とする。」

 A,Bコースともに、パート勤務の場合は、週5日勤務に換算して、それぞれの勤務年数に達していればよい。

◎スーパービジョン
Aコースの場合は、最低150時間のJFP認定のスーパーバイザーによるSVが必要。
Bコースの場合は、最低250時間のJFP認定のスーパーバイザーによるSVが必要。

 グランドパレンティング(grandparenting)手続き。サイコセラピー分野での十分な経験があり、実践を積んでいるサイコセラピストに対してもJCPを与える。彼等の多くは歴史的理由から正式な訓練を受けていないが、現世代の正式な訓練を受けたサイコセラピストの「祖父母」的な役割を担っているので彼等は書類審査等によってJCPを認められる。
基礎となる職業。ヨーロッパでは、サイコセラピストになるための訓練へのアクセスは、人間科学や社会科学など様々な予備的な資格(国ごとに異なる)を通しておこなわれる。JCPでは、次のような基礎となる職業が認められる。

 ・精神科医(医師)
 ・サイコロジスト
 ・ソーシャルワーカー
 ・教師
 ・現場で働き、サイコセラピーにおける十分な教育を有する、様々な出所のサイコセラピスト

 これらの職業はサイコセラピーにおける十分な訓練が明らかであれば、ヨーロッパのECPで受け入れられているのでJCPでも受け入れられる。


3. JCP認定者の公的登録

 全JCP認定者の登録簿はインターネットを通して一般に利用されるべきである。JCP認定者のリストは印刷もできる。
 各JCP出願者が記入すべき登録書式のサンプルは以下の通りである。